私が初めて『渡洋史』という俳優を意識したのは、おそらく大方の諸君と同じく、かの『宇宙刑事シャリバン』の放映当時だった。
 藤岡氏の『仮面ライダー』を変身ヒーローの原点とする我々の世代にとって、渡氏演じる伊賀電は、あまりにも若く、そしてあまりにも清潔であったことを記憶している。
 おそらく自分と同年代であろう『伊賀電』の写真を児童誌で初めて見た私は、こんな若者に地球の平和が護れるのだろうか、と真剣に懸念したものである。
 杞憂であった。
 渡氏が見事に若き宇宙刑事を演じきり、そして伊賀電が見事に地球の平和を護り抜いたことは、ファン諸兄がご存知のとおりである。

 それから約20年後、私は渡氏と『再会』することとなった。
 その顛末は拙作『ゾアハンター』の「あとがき」に譲ろう。ともかくこの『再会』こそが、ここでご紹介いただいている拙作誕生の瞬間だったのである。

 もしも貴方が『闘う漢(おとこ)』でありたいと望む男性ならば、ぜひお読みなさい。ここには、貴方の求めていたものがある。
 もしも貴方が『闘う漢』を見守り続けることを選んだ女性ならば、ぜひお読みなさい。ここには、貴方の愛するものがある。
 照れもてらいもなく、断言しよう。
 これは傑作である。
 私自身、なぜ自分にこんなものが書けたのか判らぬほどに、この物語は素晴らしい。
 お約束する。
 失望はさせない。

 そうそう、最後に一つ。
 渡氏も言及しておられるが、本作は映像化を前提として執筆されている。そのための仕掛けは、あらかじめ満載してあるのだ。
 しかし、いくら渡氏や私だけが声高にそれを叫んだところで、実現は困難だろう。『ゾアハンター』映像化実現への鍵は、確実に、ファンたる貴方がたが握っておられるのだ。
 さて諸君。
 奇跡を見たくはないかね?
 それは意外と簡単に起こせるものなのだよ。
 無論、諸君にその意志があるならば、だが。

 またどこかで、お会いしよう。

 大迫純一

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