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「イルカの日」


●ついに全貌を現わした待望の話題作!

 イルカが人間の言葉を話す!この驚くべき着想の映画が、昨年はじめに撮杉を開始して以来、全世界の注目を集めていた「イルカの日」である。
 コンクール賞作家ロべール・メルルの異色の原作(邦訳は早川書房刊)を、「卒業」「愛の狩人」などで一作ごとに話題をなげかけてきた鬼才マイク・ニコルズが、卓抜なアイデアを駆使して描く、今夏最大の話題作。
 この「イルカの日」の撮影はまったく秘密裡に行なわれ、見学を許されたジャーナリストはたったの一人であった。そのべールにつつまれていた全貌が、いまはじめて公開とともに人々の眼に触れることになった。

●イルカがしゃぺる!イルカが大統領を暗殺する!?

 ファーとビーという二頭のイルカは、海洋学者夫妻の愛と努力によって、人間の言葉をしゃべるようになった。ところが、このことを知ったある組織が暗躍をはじめ、二頭のイルカを誘拐していった。捕えられたイルカは、頭に機雷をつけられたまま海中に放たれた。イルカは人間の命ずるまま波間を疾走していく。その彼方には大統領専用船が……。
 イルカと人間の愛情にみちた交流。それをも呑みつくそうとする兇悪な政治的陰謀、言葉を持ったイルカをめぐって展開する感動とサスペンスの世界は、ロべール・メルルの原作が、SF小説でもなく、政治小説でもなく、動物小説でもない、それらの要素をすべて含んだ、まったく新しいスリリングな世界であったのと同様、そうしたジャンルを超えて迫って来る、衝撃と興奮に溢れている。

●空想を超えた世界!それは既にはじまっている!

 イルカが人間の言葉を理解し、軍事目的を遂行する……。この一見絵空事のように思えることは、実は現実にいくつかの国で秘密裡に研究をすすめられている。一昨年春には、カリフォルニアのサンディエゴで特訓を受けたイルカ六頭が、ベトナムヘ運ばれカンカラ湾で見張り役をつとめていると「ジャパン・タイムス」に報道された。また昨年二月には、米のCBS放送が、米海軍の"イルカ・スパイ作戦"を報じた。小型探知機を背びれの両わきに装置して、敵国深く侵入させたリ、探知機をくわえさせ、それを湾内に敷設させ、数時間後にこれを回収させ、分折する、というものだった。
 このように現実世界で静かに進行している〈イルカ研究〉が、何よりもこの映画が含んでいる問題性、迫真性を実証している。

●誰もが眼をみはるトリックなしのイルカの名演技!

 この映画の主人公ともいうべき二頭のイルカ、ファーとビーに扮して、愛らしい演披をみせたのは、一九七二年夏フロリダ沖で捕獲されて訓練を受けていた六頭のイルカのうちの二頭である。この六頭のイルカは、海洋学者ビーター・モスと著名な獣医でイルカ学の権威であるジェシー・R・ホワイトによって二年間の特訓を受けた。尻尾をはね上げること、跳躍、立ち泳きなどの行動を覚えたイルカは、それ以来何の指示がなくとも自分たちでそれを楽しんでいたといわれる、また、尻尾をひとふりするだけで、人間の一人くらい片輪にすることのできる力を持っているイルカは、しかし情愛深く、慈悲心にとんでいるという神話的評判に恥じぬ友好的態度であったともいわれている。
 こうした特訓を経て、バックという雄と、ジンジャーという雌がファーとビーに選ばれて、一切のトリックを排除して、俳優たちとともに感動的な名演技を披露するのである。

●この話題作にふさわしい一流スタッフ!

 二頭のイルカを我が子のように愛し、言葉を教えこむ海洋学者テリルに扮するのは「パットン大戦車軍団」でアカデミー主演男優賞に選ばれながら、それを拒否して話題を巻いたジョージ・C・スコット。その妻マギーには、実生活でもスコット夫人であるトリッシュ・バン・デベールが出演している。
 脚本は「卒業」「キャッチ22」でマイク・ニコルズとコンビを組んだバック・ヘンリーが担当している。
 海中を舞うイルカのしなやかな動きに合わせ、繊細で情感溢れる音楽を担当しているのは「暗殺の森」「恋のエチュード」「ジャッカルの日」の名手ジョルジュ・ドルリュ。

 ロンドンでみた"イルカの日"は、想像をはるかに越えた傑作だった。スリルと恐怖に満ちたSFとしての一面をもちながら、なおかつみる者の中に深い感動を呼ぴさまさずにはおかない。それは、私たちの人間としての認識と宇宙観すら変えかねない、身ぶるいするような衝撃とさえいえた。
 映画評論家 増淵 健氏

 イルカが英語をしゃべり、人間と会話をする。そのイルカが磁力機雷を背負ってアメリカ合衆国の大統領の乗っているヨットを襲撃する。こんな映画だというとありきたりの怪獣映画めいた動物活劇と思うだろうが、この「イルカの日」は手に汗を握るようなサスペンスを流しながら、清冽な人間とイルカの愛情の交流を描く感動的な映画である。
 軍事評論家 小山内 宏氏

美しくせつない愛の物語
 映画評論家 南 俊子氏
 これは、すばらしく面白くユニークなSF映画にちがいないけれど、私にはむしろ、こよなく美しくせつない愛の物語と思えた。
 イルカが口をきく。人間の言葉をしゃべる。しゃべって、相手の言葉を理解して、人間と、心と心を通わせあう。信じられないことだけれど、信じられない奇蹟に、私たちは愛の神話を見る。愛のふるさとを知る。

テクニカラー/パナビジョン
イルカの日


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