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「さよならジュピター」


今、宇宙体感(スペース・エクスタシー)一一一映画はここまできた!

■かいせつ
 SF界の巨人、小松左京が初の映画製作に挑戦する。「日本沈没」から10年、構想5年、製作準備2年、製作費10億円を投入した超大作「さよならジュピター」がそれである。舞台は22世紀前半。地球人口は180億、太陽系字宙空間の人口は5億に達していた。宇宙空間に住む人々は新たなるフロンティアをもとめ、太陽系を超える時代の壮大なプロジェクトに取り組んでいた。木星太陽化計画。それは人類の未来を決める最重要計画だった。
 コンピューターを駆使し、科学的データをもとにシュミレートされた22世紀の宇宙を背景に、物語は木星太陽化計画を推進する青年科学者とその恋人の愛を織り込みながら、太陽系を襲う空前の危機をリアルに描く。
 小松左京は原作、脚本、製作、総監督と一人四役をつとめ、監督にはこれが第一回作品となる橋本幸治。特技監督は川北紘一が担当。日本映画初のモーション・コントロール・カメラをはじめ、数多くの新手法を導入、さらにはコンピューター・グラフィックス(C・G)がフルに活用されるなど、目を奪う映像の魔術が、日本最高の特撮場面が、画面に次々と登場してくる。
 「さよならジュピター」は、SFを愛し、宇宙を追求する人々が、情熱の全てを傾けて製作した映画史上空前のスペース・アドベンチャー巨篇だ。
 主題歌「ボイジャー」と挿入歌「青い船で」を松任谷由実、劇中歌「さよならジュピター」「地球の四季」の二曲を杉田二郎が歌う。

■ものがたり
 火星極冠の氷が溶けはじめた。計画は成功だ。融解装置は完壁に作動した。渦巻く洪水が地下貯水池に流れこんでいく。そのとき、ぶ厚い氷底の底面に奇妙な線型の地上絵が浮かび上がった。
 地上絵の解読にかかった字宙言語学考ミリセント・ウイレムは、木星軌道上にうかぶ“ミネルヴァ基地”に、「木星太陽化計画」の現地主任、本田英二を訪ねた。「計画を一時中断してほしい」、思わぬ申し入れに英二は面くらった。木星大気圏の底、地球の4倍もある赤い渦巻「大赤斑」のあたりに約10万年前、太陽系に飛来した宇宙人の巨大な「母船」が沈んでいる可能性があるらしいのだ。
 同じころ本部内で、人類の自然改変に反対する「ジュピター教団」を名乗るグループが破壊活動を起こしていた。鎮圧に当る英二はその中に幼なじみのマリアがいることに気づいた。
 「JADE3」に乗って大赤斑を降下する英二たち。硫酸の豪雨、大渦巻、凄まじい雷にもてあそばれながら英二は宇宙船らしい巨影を発見した。しかし探査船は損傷を受け調査は中止せざるを得なかった。
 その頃、「慧星の巣」と称される空間の探査に出た長距離宇宙船「スペース・アロー」が消息を断った。航行データがただちに分析された。「ブラック・ホールが!?」。間違いではない。しかもそのコースは太陽を直撃するという。
 全人類の存亡を賭けて、「月」の対策本部に科学者が集結し、最新の科学機器がオンラインされた。恒星間宇宙船による人類脱出が提案されたが、今から準備して脱出可能なのは、185億の人類に対し、わずかO.5パーセントにも満たなかった。絶望の中で英二だけは熱っぽく主張した。「太陽系を直撃するブラックホールは木星のすぐそばを通過する、その瞬間に木星を爆破すれば、ブラックホールはそのエネルギーを吸収し、コースを変えるのではないか」。それは仮説だ。しかし人類を救うにはもうその方法しか残されていなかった。2年後一一一ブラックホールはついに太陽系に侵入した。木星爆破本部となったミネルヴァ墓地で英二たちの必死の作業が続いた。計画はもはや最終段階だ。次々と退避する作業員をみつめながら英二は祈るような気持でその瞬間を待っていた。しかしその時、基地内に誰かが侵入した。なぜ?誰が?英二は追跡し、ジュピター教団グルーブと対決した。しかも、その中にマリアがいた!!刻々と近づく衝突時刻(クラッシュタイム)……

■キャスト
本田英二……………………………………………三浦友和
マリア…………………………ディアンヌ・ダンジェリー
アニタ……………………………………………小野みゆき
ミリセント・ウィレム………レイチェル・ヒューゲット
井上博士……………………………………………平田昭彦
ピーター………………………………………ポール・太河
ホジャ・キン……………………………ロン・アーウィン
カルロス・アンヘレス…………………マーク・バンソナ
ブーカー…………………………………………キム・バス
エドワード・ウェッブ…………ウィリアム・M・タビア
ムハンド・モンスール……………………………岡田眞澄
世界連邦大統領……………………………………森繁久彌

■スタッフ
製作……………………田中友幸
 〃……………………小松左京
協力製作………………田中文雄
 〃  ………………藤原四郎
原作……………………小松左京
 (サンケイ出版・徳間文庫刊)
脚本……………………小松左京
総監督…………………小松左京
監督……………………橋本幸治
        (第1回作品)
特技監督………………川北紘一
撮影……………………原 一民
美術……………………竹中和雄
録音…………………吉田庄太郎
照明……………………小島真二
音楽監督……………羽田健太郎
衣装デザイン…………志村雅久
■特技スタッフ
撮影……………………江口憲一
美術……………………寒竹恒雄
照明……………………三上鴻平
操演……………………松本光司
特殊効果………………渡辺忠昭

主題歌「ボイジャー」
挿入歌「青い船で」
 ●松任谷由美(東芝EMI)
劇中歌「さよならジュピター」
「地球の四季」
 ●杉田二郎(東芝EMI)


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