『第三の手』 -参 -

地球に着いたクヮンは宇宙船で知り合った地球再生機構のガース・シロップと言う男に連れられてマンハッタン島にやって来た。

宇宙港のバーで地球行きの便が来るまで時間つぶしをしていたガースは、ジョージと名乗るヒョウ師のヒツに足を乗せてしまった。
この頃、まだ歩ヒョウも然程世に知れてはいない頃であるからまあ無理も無い。
足下の四角い箱が何であるか、ヒョウ師で無いガースに判る筈も無かった。
しかし、ジョージはそれを許さなかった。
ネモの一番弟子を自負するジョージは日頃からヒョウ師がちやほやされる姿を見て過ごしていた。

「貴様!何をするか!」

怒鳴るなり、ガースを店の外の広場に投げ出すと、ヒツを指差しながら

「これが何だか知らぬと見えるな!ならば」

言うなり歩ヒョウを纏ってガースに迫った。

そこに偶然通り掛かったのがクヮンである。

(歩ヒョウで生身の人間に難癖を付けるとは何事か!)

病気の件で少し気が立っていたのであろう。いつもならさほど他人に干渉しないクヮンが割って入った。

後はジョージがネモに愚痴った通りである。
割って入って来た邪魔者に自分から挑み掛かったジョージは
訳が判らぬままやられてしまった。

こんな縁で知り合ったクヮンとガースなのであった。
ガース氏は過去に自分の祖母をK-ショック症候群で亡くしており、クヮンの話を聞いて他人事と思えなかったのであろう。
地球でクヮンの面倒を見る事にしたのだ。

ガースの所に落ち着いたクヮンは、残りの人生をのんびりと地球で暮らす事に決めた。
地球にはスペースコロニーには無い、何やら良い気配の様な物があった。

---つづく---